今話題の若者の「固定電話恐怖症」について

最近「固定電話恐怖症」という言葉を聞く機会が増えました。

学校を卒業して会社勤めを始めた若者たちが、会社の電話に出るのを極端に嫌うというものです。

固定電話に出るのが恐怖過ぎて、会社を辞める若者もいるそうです。

電話の取り次ぎは非効率

私は1983年生まれで、新卒で会社に入ったのは2006年。当時は「固定電話恐怖症」という言葉はなかったですが、私も会社の固定電話に出るのは大嫌いでした。

当時も「会社の電話に出るのは新人の仕事」という暗黙のルールがあり、電話に出るのが遅いと、私を指導してくれていた隣の席の先輩からよく注意を受けたものでした。

社外にどんな取引先があるのか知らないのはもちろん、社内の人間のことも分かっていない状況で電話に出なければいけないというのは恐怖でしかありません。

まず、名乗った相手の会社名が聞き取れないことなど日常茶飯事で、聞き返すことや、聞き返した挙句聞き取れなかったことなど、すべてがストレスでした。

さらに、社内に同じ苗字の人間が複数いた場合に、再度誰宛てなのかを聞き直さなければならないのも苦痛でした。

伝言を頼まれた時には「私に伝言を頼むよりも、相手にメールを送った方が正確に伝わるだろうに…」と思ったものです。

メールやLINE、メッセンジャーでよいのでは?

2006年当時もメールでのやり取りが当たり前に行われていたのに、「頻繁に電話を使う」という行為が当たり前に行われていたことに違和感を感じたことを覚えています。

もちろん、電話で話すことで感情が伝わりやすくなるというメリットは大きいですし、電話を全否定するつもりもありません。

しかし、電話でのやり取りは、結論が整理されないことが多いですし、後で言った言わないのトラブルになりがちです。

「メールで済ますのは失礼。きちんと電話をするべき」という感覚が今よりも強かったのかもしれませんが、急ぎで相手のレスポンスを得なければいけない時や、電話でなければ伝えにくいことがある場合以外は電話をしなくても良いのではないかと思います。そうするだけで、電話の取り次ぎという非生産的な仕事を減らすことができるのですから。

若者の「固定電話恐怖症」が話題になっているのは、子どもの頃からLINEやメッセンジャーなどの便利なコミュニケーション手段に慣れ親しんできたのに、会社に入った途端に「固定電話」という古く非効率なシステムを強要されることへのストレスが大きいのではないかと思います。

新入社員の中には「何でみんな電話ばっかりしてるんですか?LINEでやり取りすればいいじゃないですか?」とストレートな問いを投げかけた結果潰されて会社を辞めるというケースもあるかもしれません。

実は固定電話そのものが問題なのではなく、意味のない慣習にとらわれ、新しく便利なシステムを採用したがらない上司や先輩への失望が本質的な問題なのかもしれません。

ABOUTこの記事をかいた人

Daily Lives代表。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影と、コンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。紙媒体・WEBのコンテンツ制作を行う。趣味は旅行・アウトドア・温泉。